薪ストーブを語る


Interview

合同会社エンフリーは、『薪ストーブ住宅』の専門アドバイザーとして、
住宅に薪ストーブを導入する事業をおこなっています。
新築やリフォームで、住宅に薪ストーブを導入する際のコンサルティング、図面作成、
薪ストーブ本体および煙突の設置工事からメンテナンスまで一貫してサポートします。
エンフリーは、父の金子稔さんと、岳史さんの二人で営んでいます。
薪ストーブとの運命的な出会いから事業化までの道のり、親子で目指す目標を伺いました。

薪ストーブ専門の住宅コンサルティング会社を親子で起業


元々は、父の稔さんが個人事業として行っていた、薪ストーブに関する事業。
現在24歳の岳史さんが高校を卒業した春に、合同会社エンフリーとして再スタートしました。
会社設立から7年目ですが、金子さん父子と薪ストーブには長い歴史があります。

稔「薪ストーブに魅せられて、コンサルティングから設置工事、メンテナンスまで手掛ける事業を一人で開業しました。息子と二人で仕事をするなら法人化しようということで合同会社を設立しました」

稔さんが窓口となって、お客様からの問い合わせ対応、CADでの図面作成、見積作成などを行っています。稔さんが中心となり事業を進めていますが、徐々に岳史さんへ仕事を教えています。
学生時代から父の手伝いをしていたという岳史さんにとって、薪ストーブを仕事にすることはごく自然な流れだったと言います。


岳史「生まれたときから自宅には薪ストーブがあったので、自分にとっては当たり前の風景だったんです。中学2〜3年生ぐらいから、週末には父の仕事を手伝っていました。設置工事に参加したり、煙突掃除をしたり。家業を継ぐと言うほどの気負いもなく、気づいたら仕事をして日常の延長線上にありました」

工事など人手が必要な時、仲間に手伝いを求める以外は二人で仕事をします。主なエリアは関東とその隣接県。ですが、求められれば行けるところまでは行くのが信条。愛知や奈良にもお客様がいます。


稔「私たちのような薪ストーブメーカーは、沖縄を除いてほぼすべての県にあります。その中で選んでいただいていますね。ブログやウェブサイトで私たちのことを知り、問い合わせてくださる方が多いです。ご自宅に薪ストーブを設置したい方だけでなく、設計事務所からもお問い合わせをいただきます」

稔さんに依頼が集まる理由の一つは、薪ストーブと住宅についての豊富な知識にあります。
事業としてはじめる前に、夜間の専門学校へ通って建築士の資格を取得。勤務していたハウスメーカーでは住宅設計の基礎を学びました。
次に必要だと考えたのは、薪ストーブに関する知識でした。自宅に薪ストーブを設置してはいたけれど、素人の趣味の域を出て知識やノウハウを身につける必要があります。
薪ストーブショップに転職し、薪ストーブ本体の基礎と、工事のノウハウを学んだのです。さらに、薪ストーブの性能を発揮する住宅の間取りについて研究を続けました。


稔「薪ストーブと住宅設計、両方の専門知識と経験があるからこそ、お客様に最適な提案ができます。薪ストーブは置く位置により、暖房効率やメンテナンス性が変わります。それを知らずに図面を引いてしまうと、薪ストーブの本来の性能が発揮されなかったり、メンテナンスしにくいなど問題が生まれます。そうすると、お客様が「こんなはずではなかった」とがっかりすることになりかねないのです」


Interview

合同会社エンフリーは、『薪ストーブ住宅』の専門アドバイザーとして、住宅に薪ストーブを導入する事業をおこなっています。新築やリフォームで、住宅に薪ストーブを導入する際のコンサルティング、図面作成、薪ストーブ本体および煙突の設置工事からメンテナンスまで一貫してサポートします。エンフリーは、父の金子稔さんと、岳史さんの二人で営んでいます。薪ストーブとの運命的な出会いから事業化までの道のり、親子で目指す目標を伺いました。

薪ストーブ専門の住宅コンサルティング会社を親子で起業


元々は、父の稔さんが個人事業として行っていた、薪ストーブに関する事業。
現在24歳の岳史さんが高校を卒業した春に、合同会社エンフリーとして再スタートしました。
会社設立から7年目ですが、金子さん父子と薪ストーブには長い歴史があります。

稔「薪ストーブに魅せられて、コンサルティングから設置工事、メンテナンスまで手掛ける事業を一人で開業しました。息子と二人で仕事をするなら法人化しようということで合同会社を設立しました」

稔さんが窓口となって、お客様からの問い合わせ対応、CADでの図面作成、見積作成などを行っています。稔さんが中心となり事業を進めていますが、徐々に岳史さんへ仕事を教えています。
学生時代から父の手伝いをしていたという岳史さんにとって、薪ストーブを仕事にすることはごく自然な流れだったと言います。


岳史「生まれたときから自宅には薪ストーブがあったので、自分にとっては当たり前の風景だったんです。中学2〜3年生ぐらいから、週末には父の仕事を手伝っていました。設置工事に参加したり、煙突掃除をしたり。家業を継ぐと言うほどの気負いもなく、気づいたら仕事をして日常の延長線上にありました」

工事など人手が必要な時、仲間に手伝いを求める以外は二人で仕事をします。主なエリアは関東とその隣接県。ですが、求められれば行けるところまでは行くのが信条。愛知や奈良にもお客様がいます。


稔「私たちのような薪ストーブメーカーは、沖縄を除いてほぼすべての県にあります。その中で選んでいただいていますね。ブログやウェブサイトで私たちのことを知り、問い合わせてくださる方が多いです。ご自宅に薪ストーブを設置したい方だけでなく、設計事務所からもお問い合わせをいただきます」

稔さんに依頼が集まる理由の一つは、薪ストーブと住宅についての豊富な知識にあります。
事業としてはじめる前に、夜間の専門学校へ通って建築士の資格を取得。勤務していたハウスメーカーでは住宅設計の基礎を学びました。
次に必要だと考えたのは、薪ストーブに関する知識でした。自宅に薪ストーブを設置してはいたけれど、素人の趣味の域を出て知識やノウハウを身につける必要があります。
薪ストーブショップに転職し、薪ストーブ本体の基礎と、工事のノウハウを学んだのです。さらに、薪ストーブの性能を発揮する住宅の間取りについて研究を続けました。


稔「薪ストーブと住宅設計、両方の専門知識と経験があるからこそ、お客様に最適な提案ができます。薪ストーブは置く位置により、暖房効率やメンテナンス性が変わります。それを知らずに図面を引いてしまうと、薪ストーブの本来の性能が発揮されなかったり、メンテナンスしにくいなど問題が生まれます。そうすると、お客様が「こんなはずではなかった」とがっかりすることになりかねないのです」


薪ストーブとの運命の出会い


長らく、薪ストーブは一般のユーザーには敷居が高かったと稔さんは振り返ります。薪ストーブと言えば、リゾートホテルや別荘に設置されるもので、一般の住宅に取り付けたいという希望の受け皿がありませんでした。
日本で薪ストーブがポピュラーになってきたのは最近のことです。また、ヨーロッパから輸入した商品を老舗業者が販売するのが基本だったため、コスト面でも、サービス面でも個人が受託用に購入するにはハードルが高い状態でした。
しかし、実は稔さんが薪ストーブに出会ったのは一般住宅でした。
30年ほど前、クリスマスイヴの日に山梨県の北西部に位置する白州に住む友人を訪ねた時のこと。別荘ではない、ごく普通の住宅に薪ストーブがあったのです。


稔「もちろん当時も薪ストーブの存在は知っていたのですが、私からすると高嶺の花というか。別荘やリゾートホテルにあるイメージでしたから。普通の住宅に本格的な薪ストーブがあるのを見てカルチャーショックを受けました」

工務店からすすめられて取り付けたという友人宅の薪ストーブに、衝撃を受けた稔さん。
すぐに自分の家にも薪ストーブをつけるべく動きます。
煙突工事を含めて100万円ほどという大きな買い物でした。さらに母からは「薪ストーブなんて面倒くさい」、「薪はどうやって買うのか」と反対されました。それを押し切って、縦型の薪ストーブ、スキャンの『マーグレティー』を自宅に迎え入れたのです。


稔「その後も薪ストーブを増やしていって、今使っているものは5台目になります。薪ストーブを使うと他の暖房には戻れません。1台で家中が温まりますが、エアコンのように嫌な風も、石油ストーブのような気になる臭いもありません。なにより、炎が見えるのがいいですね。自然とそこに人が集まってくるんです」


薪ストーブが一般住宅に広がる


日本で薪ストーブが知られるようになってまだ30年ほど。
またほんの10年ほど前までは、薪ストーブは「男の火遊び」のようなものだったと稔さんは思い返します。


稔「それが最近はガラッと変わりましたね。妻が夫を連れてくるというパターンも増えてきました。女性がどこで薪ストーブを知ったのかと言うと、インテリア雑誌や住宅雑誌に薪ストーブがさらりと写っているんですね。それを見て自宅に設置したいと希望される方が増えています。また、薪ストーブの上で料理ができる点もポイントが高いようです」

お客様は大きく2つのタイプに別れます。30〜40代ではじめて家を建てる家族。そして、定年を期に別荘やセカンドハウス、または自宅をリフォームして薪ストーブを設置したいという方たちです。

暖房器具として認知度が上がった薪ストーブ。エンフリーでは、毎年30〜40台程度を設置しています。


稔「新築の場合は、ご相談から設置まで半年ほどかかるでしょうか。間取りの作り方からアドバイスしています」

図面がすでに出来上がった後、さらには上棟してから相談を受けるケースもあるとのこと。できるだけ希望が叶うように、図面を引いてアドバイスします。
薪ストーブは煙突とセットで考える必要があります。また、単純に2つを繋げばいいわけではありません。
稔さんは家の導線も含めて、効果的な配置を知っているか、使い勝手が良いのかを熟知しているのです。

薪ストーブは輸入商品、国産商品の購入はもちろん、持ち込みも対応。お客様の希望に可能な限り答えていくのがエンフリーの思想です。


稔「とはいえ、お客様の理想通りに作ると問題が起きるケースもあります。そのような時はきちんと理由を説明し、最適な形にアドバイスをします」

薪ストーブを設置するにあたり、重要なのはストーブ本体の位置と煙突。薪ストーブの知識がないと、使い勝手がわるいだけでなく、トラブルにつながるリスクもあるのです。 お客様の条件や希望を聞きながら、最適な提案をするのがエンフリーの仕事です。



薪ストーブごとの特徴を知ることが重要


薪ストーブは基本的に壊れないため、一生モノと言われています。
壊れることもほとんどありません。トラブルはほとんど煙突が原因。詰まった煤を取ってあげれば元通りになります。
また、必要なのは薪の用意と掃除くらいなので、薪ストーブはイメージよりも手間がかからないと稔さんは言います。


稔「煙突掃除も私たちの仕事です。購入いただいたお客様の3割程度は、煙突掃除も依頼くださいます」

薪ストーブの進化は限られています。薪から出るガスと空気がぶつかりあい、炎としてエネルギーを出す仕組みです。そのため、価格を左右するのはサイズやデザイン性。 エンフリーでは薪ストーブの選び方もアドバイスをします。


稔「最近ヨーロッパでは黒くて四角いタイプではなく、ガラス製の縦に長いタイプが人気です。デザイン性は高いのですが、ストーブの上で料理をできなかったり、日本の標準的な薪のサイズである40cmよりも奥行きがなく使い勝手が悪いというデメリットがあります。価格も割高になります。お客様のイメージをお聞きしながら、特徴やメリットデメリットをご説明し決めるお手伝いをします」

稔さんは、ヨーロッパの薪ストーブはおもてなしの炎がたかれていると言います。
縦型が主流であったり、最近は住宅の断熱性能が高まっているため、薪ストーブ自体のパワーも低いタイプが増えるなど、日本では使い勝手が劣る要素もあるのです。
また、国産薪ストーブの中には、工房で作られた一点物として値段が張るものもあります。薪ストーブと言っても多種多様。 お客様のニーズに合わせて最適なものを提案します。

値段や配置だけでなく、使い始めた後のことも考えた提案をするのが稔さんのモットー。
熱源を利用して料理したい、お湯を沸かしたいなど使用イメージも確認します。
その他、薪ストーブのランニングコストや、薪を置くスペースなど細かな点を共有し、認識を合わせるお手伝いをします。
薪ストーブはただ設置すればいいわけではないため、住宅づくりの知識をフル活用するのです。



仕事で大切にしていること


薪ストーブを取り付けたいと相談に来るお客様は、とても楽しみにして、自分でもよく調べたり考えたりしていることがほとんどだと言います。また安い買い物ではなく、一生モノの自宅です。図面の段階からアドバイスをして、満足する仕事を心がけています。


稔「自分の家に設置する気持ちで、きれいに取り付けることを目指しています。また、ユーザーさんが掃除しやすいようなレイアウトや構造にするなど、メンテナンス性を考え、使い始めてからも重視します」

現在は工事を中心として仕事をしている岳史さん。大前提として完璧な施工を行うことを重視しています。


岳史「今後は私も父の役割を担えるように、考える機会を増やしています。現場を見て、どういう施工にしようか迷うことがあります。自分の中で解決策をまとめて、父の意見を聞いて答え合わせをするなどしています」

稔さんは岳史さんについて、学生時代から一緒に現場をまわり、場数を踏んできたと言います。自分の考えていることはほとんど分かるのではないかと稔さんは岳史さんを信頼しているのです。

エンフリーでは、既存住宅のリフォームにも対応しています。新築に比べて、難易度は大きく上昇。お客様の要望の場所に置く場合のメリットデメリットを説明し、解決策を検討し、現場で判断する必要があります。薪ストーブはもちろん、家の構造についても熟知する必要があるのです。


稔「難しいケースはありますが、設置できない家は少数です。ポイントは煙突を付けられるかなので、屋根に穴が開けられないなら壁から通すなど解決策を提案できます。壁に穴を開けたり、支柱を立てたり。希望を叶えられないことはありますが、できるかぎりの提案をすることを心がけています」


改めて薪ストーブの魅力とは


完成後、薪ストーブのある生活を楽しんでいるお客様の姿を見るのが嬉しいと語る稔さん。
冬でも半袖で過ごせるぐらい、薪ストーブの家は温かいといいます。さらに薪ストーブの周りには家族が集まるため、家族団らんの場となります。


稔「お客様が火を入れて喜んでくれた時、仕事のやりがいを感じますね。「素敵」「あたたかい」という声を聞いた時、嬉しいですね。お子様からの評判もいいですね。みんなで料理をしたり、いろいろな楽しみ方ができます」

岳史「私もその瞬間は好きですね。他にも、薪ストーブがなかった空間に薪ストーブが付いた時。特にリフォームでは作品ができたような気持ちの高まりを感じます」

息子と二人で二人三脚で営むため、売上を伸ばしたり、会社を大きくしようという野望はないそう。それでも心に持つ夢は、薪というアナログな燃料で、火で暖かさを届けること。家族の団らんを彩ること。


稔「薪ストーブはもう数少ない日本の火の文化を感じる機会だと思っています。最近はIHが広がるなど、裸火を見る機会も減っていますよね。薪ストーブを身近に感じてもらえる機会を提供したいと思います。そして薪ストーブはもっと市民権を持って欲しいなと思います。街に煙突を持つ家が増えるといいですね」

岳史「しっかり事業を引き継ぎつつ、もっと多くの人に薪ストーブの魅力を伝えていきたいです。自宅には薪ストーブがあり、料理を作ったり楽しんでいます。この楽しさを多くの人に知って欲しいですね」

金子さん親子は薪ストーブ好きが高じて、オリジナルの薪ストーブも製作しています。薪ストーブメーカーEight Knotと共同開発した「e-plus」は、裸火でも、オーブン室でも料理ができるのが特徴です。
岳史さんはe-plusで、ピザを焼いたり、薪ストーブ料理を楽しんでいます。
写真や動画を使って薪ストーブの魅力を発信していきたいという岳史さん。
父の稔さんと別のアプローチで、薪ストーブを盛り上げていきます。